Placeholder image

 メダカ 恋ごころスイッチの発見

2014. 1. 3

研究紹介:

メダカはずっとそばにいてくれた異性に恋をする

 〜恋ごころスイッチの発見〜

 2014年1月3日、メダカのメスによるオス選びの性行動と、その性行動を制御する神経細胞に関する論文が、米国の科学誌「サイエンス」で発表されました。この研究は、東京大学、基礎生物学研究所の共同研究によって行われたものです。
 メダカのメスは、パートナーとなるオスからの「求愛ダンス」を受けた後に、そのオスとの交叉を受け入れ、産卵を始めます。この時、オスはメスの産卵とほぼ同時に放精を行うことで、卵と精子を受精させ、自分の子孫を残すことができます。 メダカの恋愛の結果は、メスが求愛してくるオスを受け入れるかどうかによって決まると考えることができます。
  東京大学の奥山輝大(現マサチューセッツ工科大学)、竹内秀明助教らの研究グループは、メダカのメスは「そばにいたオス」を目で見て記憶し、その求愛をすぐに受け入れることを発見しました。さらに、「そばにいたオス」と「見知らぬオス」をメスと一緒にすると、メスは両オスを識別し、「見知らぬオス」の求愛は受け入れず、「そばにいたオス」の求愛を積極的に受け入れることを見いだしました。
 また、「見知らぬオス」からの求愛をすぐに受け入れてしまうという異常を持つメダカ変異体を発見しました。これらのメダカの脳内にある特定の神経細胞、GnRH3ニューロン(GnRH=生殖刺激ホルモン放出ホルモンの略)の発達を詳しく調べると、形態的な異常があることがわかりました。正常のメダカのGnRH3ニューロンをレーザーで破壊すると、そのメスは変異体と同様に「見知らぬオス」の求愛をすぐに受け入れるようになりました。さらに、正常のメダカのGnRH3ニューロンの電気的な活動を調べたところ、同じオスが一定時間メスのそばにいると、神経活動が活発になることが明らかになりました。
 これらのことから、GnRH3ニューロンは、「見知らぬオス」からの求愛を受け入れることを抑制する働きがある一方で、「見知らぬオス」が一定時間そばにいることで、 神経活動が活性化し、求愛を受け入れるようになる・・・、つまり「見知らぬオス」が「そばにいたオス」となる「恋ごころスイッチ」として働くことが示唆されました。詳しい研究の内容はこちら科学雑誌 Science(英語版)をご参照ください。
 今回、株式会社ドキュメンタリーチャンネルは、実験の概要をわかりやすく紹介する映像を撮影・制作協力いたしました。映像はこちらのページから閲覧可能です。

  東京大学 プレスリリース

Placeholder image

メダカのメスとオス

Copyright © 2023 · All Rights Reserved · Documentary Channel Co.,Ltd.