Gallery　Marine Flower Worm

ポリプの花

花びらのように見えるものは、サンゴの体から伸びた小さな腕です。

花のような形をした小さな生きものがうごめくことから、サンゴの仲間は「花虫」と呼ばれることがあります。

イソギンチャクのような形の体をポリプと言います。多くのサンゴは、丈夫な骨格を作りながら、ポリプの数を分裂で殖して成長し、一つのサンゴ、群体として生きています。

　美しいミドリイシサンゴの仲間

ミドリイシサンゴの仲間は、その姿がとても美しく、サンゴ礁の中でも、ひときわ目をひきます。

　褐色に見えるサンゴの表面

サンゴは動物です。でも、ただの動物ではありません。まるで植物のような一面もあわせ持っています。

サンゴの表面を拡大すると小さな茶色の粒が見えます。

　サンゴと共生する褐虫藻

褐虫藻は直径わずか0.01mmほどの植物プランクトンです。褐虫藻は太陽の光を受けて、光合成を行いエネルギーを作り出しています。サンゴは、褐虫藻を細胞の中にすまわせることで、褐虫藻が作り出すエネルギーをもらっているのです。

　褐虫藻とポリプの口

サンゴと共生する褐虫藻の出入り口となっているのはサンゴの口です。

　サンゴ礁に暮らすたくさんの生きもの

豊かなサンゴ礁の海では、様々な種類の魚を見ることができます。

　サンゴを食べる魚

サンゴには硬い骨がありますが表面や内部の肉は魚の食べものになります。

　サンゴの枝の隙間に隠れる魚たち

枝が入り組んだサンゴの隙間は、小さな生きものにとって、絶好の隠れ家です。

　サンゴの枝の隙間に潜むカニ

サンゴの枝の隙間には、カニなどの小さな生きものも、すんでいます。

　サンゴ礁を訪れる大型魚

サンゴ礁の豊富な魚を狙って、沖合から大きな魚がやってきます。

　ミドリイシサンゴの産卵

サンゴの群体から、うすピンク色をした丸いものがたくさん出ています。産卵です。

　コモンサンゴの産卵

多いときには、一つの群体から、何十万というおびただしい数の卵が、わずか１時間ほどの間に一気に産み出されます。

　卵と精子が一つの塊になったバンドル

ピンク色に見えるのが卵。白く見えるところは精子です。

　波に漂うバンドル

バンドルは海面に達し、漂ううちに、次第にバラバラになっていきます。

　ミドリイシサンゴの卵割

産卵から1時間ほど経った頃。卵の一部がくびれて、ハートのような形になりました。受精したサンゴの卵が、細胞分裂をしているのです。

　４細胞期

　エビセン

細胞の数が増えると、やがて平たい形に変わります。その独特の形からサンゴの研究者の間では「えびせん」と呼ばれることもあります。

　プラヌラ幼生

プラヌラ幼生の色や形は、サンゴの種類によって様々です。

　プラヌラ幼生の繊毛

プラヌラ幼生の体の表面には、繊毛と呼ばれる細かな毛がびっしりと生えており、これを動かして、泳ぐことができます。

　海底をはい回るプラヌラ幼生

プラヌラ幼生が、海底の岩の上を、はうように進んでいます。岩の表面の様子を探っているのです。

体の形を変えるプラヌラ幼生

体を岩の表面にこすりつけるようにして、そこが、海底での固着生活を送るのに適した場所かどうか、調べているのです。

　着底すると６放射の体に変化する

海底にくっついたのとほぼ同時に丸かった体が六つにくびれました。

　サンゴの骨格形成の様子

ぽつぽつと現れた輝く点。これが骨です。

　サンゴの骨格

サンゴの骨は炭酸カルシウムの結晶でできており、その中には、二酸化炭素が閉じ込められています。

　サンゴの骨格

ポリプの底面に広がるように十二本の骨格が放射状に伸びています。その骨格の上に、さらに垂直に伸びる骨格ができています。

　初ポリプ

岩の上についてから三日ほどで、イソギンチャクのようなポリプになりました。

　初ポリプ

ポリプの触手の中に褐虫藻が見えています。

　分裂で殖えたポリプ

ポリプが分裂して、ポリプの数が殖えていきます。同じ群体に属するポリプは、同じ親から生まれ、同じ遺伝子を持つクローンです。

　サンゴの森

様々な生きものを育むサンゴ礁は、まるで海の中に広がる森のようです。